[控え室2] GM : ※Bチーム控え室

[控え室2] 歳納京子 : 肉体部門─────水泳に意気揚々と向かったティーダを見送り。
控え室でソファーに寝っ転がっていた京子。

[控え室2] 歳納京子 : しかし、その京子の顔には、汗がダラダラと。
何故ならば─────冬服だからだ。

[控え室2] 歳納京子 : 南の島だと言うのに。冬服。
当たり前の現象として、熱が京子の体の中に溜まりまくる。

[控え室2] 歳納京子 : 「……」
きょろきょろ、と当たりを見回して。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「……?」
何よこの子、全然情報ないじゃない…なんてぶつぶつ言いながら端末に当たるのを止める。

[控え室2] 歳納京子 : 「……しかし、こんなこともあろうかとっ……!」

[控え室2] 歳納京子 : 突然、服に手をかける。
ババっと、近くにユウカがいるにもかかわらず─────そして!

[控え室2] 歳納京子 : 早着替えッ!

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「え、ちょっ…!?」

[控え室2] 歳納京子 : 「……じゃーん!!」
ぴし、っとソファーの上に立ちアピール。

[控え室2] 早瀬ユウカ : ……見えなかった。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「……どこから持ってきたの?それ…」

[控え室2] 歳納京子 : そして、いつの間にか京子の手には水鉄砲。
くるくる、とガンマンのように回して。

[控え室2] 早瀬ユウカ : ……というか、むしろどうして今まで冬服だったの?

[控え室2] 歳納京子 : 「実はあらかじめ着込んでおいたんだよね~!
 水着!」

[控え室2] 歳納京子 : ────パシャ。
ユウカの顔に、水を掛ける。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「ふぇっ?!」

[控え室2] 早瀬ユウカ : どたん、と派手にすっ転ぶ。

[控え室2] 歳納京子 : 「いや~……めっちゃ考えてくれるけど
 たまにはリラックスしてもいいんじゃない?って思……
 おわぁ!?めっちゃダメージ!」

[控え室2] 歳納京子 : 何だか真面目な所も、裏で頑張っていることも────
前のレネゲイド事件で知り合った、”彼女”に似てるな、と思っていたが。

[控え室2] 歳納京子 : 水鉄砲の勢いに、慌てて彼女に駆け寄る。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「ううん……そうね、あなたのそれが自然体であるように…私にとってもこれが自然体だから気にしないで、というか…」
床に手をつきながらふらふらと起き上がって。

[控え室2] 歳納京子 : 「……ん、”天才”だから……むしろそっちの方が楽だったり?
 ……あ、うん」

[控え室2] 歳納京子 : ユウカに肩を貸しながらも、言葉の続きを待つように目を見つめ。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「ま、まぁ……でも、その…えっと、気遣ってくれたなら、ありがとね……」

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「……。ねえ、」

[控え室2] 歳納京子 : 「………!!
 いやー……まあ、折角の南の島だしね~」
あははー、と笑いつつ。

[控え室2] 歳納京子 : 「……?」
ユウカに、首を傾げる。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「……その言葉は…あなたにとっての、"エース"なのかしら」
ぽつりと。

[控え室2] 歳納京子 : 「………」
エース、つまりは”天才”。その言葉を聞いて、ピタリと体が止まる。

[控え室2] 歳納京子 : 「……ん~、そうだね
 ユウカは天才って”認められた”時どう思った?」

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「……。あなたの思う答えは返せそうにないけれど」
「私は気付けば…ただ、こうなっていた。……それだけ」

[控え室2] 歳納京子 : ────”天才”。
それはUGNから、ノイマンの中でも突出して計算力が高く、他人よりも頭の回転が速いと唄われ、認められた証。
それをどう受け取るかは、その持ち主次第だが。

[控え室2] 歳納京子 : 「ん。まあそう言うもんだよね
 私も似たようなものだったよ」

[控え室2] 歳納京子 : あっけらかんと、そう言う。

[控え室2] 歳納京子 : 「でも……ただ、付け加えるなら
 私はそう認められて、とっても嬉しかった」

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「……?」
意外そうに見つめる。
……"天才"という言葉にこだわっているように見えたのに。

[控え室2] 歳納京子 : 「だって……私が、誰かに認められた証じゃない
 特別だって……そう認められた。だから、私は天才でありたかった」

[控え室2] 歳納京子 : 片手で水鉄砲に触れて、手持無沙汰に見つめて。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「…………」

[控え室2] 歳納京子 : 「……まぁ、でもね!」

[控え室2] 歳納京子 : 「最近はそうでもないんだよね
 だって、”先輩”って慕ってくれる子もいるしー」

[控え室2] 歳納京子 : この青い海にも負けないような、透き通るくらいの髪の後輩を脳裏に浮かべながら。

[控え室2] 歳納京子 : 「だからまー、天才は私にとっての”エース”だけど
 エースは他にもあるってとこかな?」

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「先輩…」
……さっき、楽しそうに"自慢の弟子"…なんて戯けていたのを思い出す。

[控え室2] 歳納京子 : にしし、と笑ってみせて。

京子にとって、アイデンティティは重要なモノである。
UGNから”天才”といわれたのは、単に認められただけでなく。
”日常”────京子が京子であるための要素の一つ。
そのため、アイデンティティであった”天才”はかなり固執はしていた。
しかして、こうやって場を積み……”先輩”として振舞う事が出来る現状は、彼女にとって大切な毎日、なのである。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「……へぇ」
……結構、しっかり考えてる…のよね。

[控え室2] 歳納京子 : 「ユウカこそ、”エース”は何なのさ?」

[控え室2] 歳納京子 : くるり、と体全体を彼女に向けて見せる。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「……私? …そうね」

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「あなたの"天才"や"後輩"が、心の拠り所とするならば」

[控え室2] 早瀬ユウカ : 息も継がず。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「ただの"天才"では"後輩"も救えない。それが私の理由であり、拠り所」

[控え室2] 歳納京子 : ふむ、と声を上げる間もなく────次の言葉が紡がれる。

[控え室2] 歳納京子 : 「……ん。タダの”天才”だったら、救えない?」

[控え室2] 歳納京子 : 興味深そうに、ユウカの瞳を見つめて。

[控え室2] 歳納京子 : そう言われると少し痛い。
私は”天才”と認められて、浮かれているまま。
それを磨くことはほぼなかった。

[控え室2] 歳納京子 : だからこそ────”失敗”した任務もある。
もしかして、ユウカ自身も似た経験をしてたのかな。

[控え室2] 早瀬ユウカ : こくりと頷き。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「……私も昔は、"天才"って言葉に力をもらってきた」
「……でも、"お利口さん"なだけでは……簡単な戦闘すら、生きていけないってわかってから。」
憂うように目線が宙を追って。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「その"天才"も、私にとってはただの"天才"。」

[控え室2] 歳納京子 : 「……まあ、ね
 UGNって過酷だから、オーヴァードであったり……天才であったり。
 そういうのでも、いーっぱい辛い経験するモンだよね」

[控え室2] 歳納京子 : 「これに参加したのも────より賢くなるための”計算結果”だった?」

[控え室2] 歳納京子 : くるくる、と水鉄砲を回して。
向けた先には、この訓練の資料。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「……。さあ」

[控え室2] 歳納京子 : 「がぁん!?いまカッコよく決めたのに!!」

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「え、えっ…」

[控え室2] 歳納京子 : ずさ、と両手を床に落として。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「ち、ちょっと…!」
戸惑いつつ。

[控え室2] 歳納京子 : 「推理したけど、ダメだねー……
 ユウカみたいにうまく賢くやれないや」
あははー、と笑いつつ。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「………お金が出るから……!!」

[控え室2] 歳納京子 : 「……ほへ」

[控え室2] 歳納京子 : くるり、と顔を向ける。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「……その……!!私……学校で会計やってて…!!」
「……腕試しと偵察って名目で、研修費と今後のコネとか確保してこいって頼まれてるのよ…!!悪い!?」

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「だから…あー、その…!勝たなきゃいけないの…!」

[控え室2] 歳納京子 : 「え!?いやいや!!
 そのー……私も、あんまり言いにくい理由っていうかー……
 最近エフェクト使ってないから……その、不安で……腕試し的な……」

[控え室2] 歳納京子 : ぼそぼそ、と言葉尻が弱くなっていく。

[控え室2] 歳納京子 : 「……むん、それなら勝つのは大切だね」

[控え室2] 歳納京子 : こくこく、と頷き。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「……もう…」
つられてこちらまで体が縮こまり気味になる。

[控え室2] 歳納京子 : 「ん~~……じゃあこうしようか?」

[控え室2] 歳納京子 : 何かをひらめいたように、ピンっと一本指を立て。

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「……へっ?」

[控え室2] 歳納京子 : 「勝利は確定!その上で────楽しもう!
 こんなに綺麗な海なんだから、これもまた”非日常”だよ!」

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「あ……」

[控え室2] 歳納京子 : ……滝壺修行を提案した私が言えたことじゃないかもしれない。
言った後に、ちょっと汗が垂れる。

[控え室2] 歳納京子 : 「なんだか、プログラムをどうやったら勝てるか……そう考えてた時のユウカ
 けっこー楽しそうだったしね~」

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「……うん、そうね。……ええ。」
きらきらと光る水面に目を奪われつつ

[控え室2] 歳納京子 : ちょっと取り繕うように、言葉を続ける。
でも、そう見えたのは本当だし……楽しんでほしいのもまた事実だから。

[控え室2] 歳納京子 : なにせ────”天才”同士、だしね!

[控え室2] 早瀬ユウカ : 「ありがとう。……"非日常"くらい、肩肘張らずに…楽しんでみなきゃね!」

[控え室2] 歳納京子 : ユウカの答えに、にへらと顔が微笑み。
楽しげに、ピースサインを送る。

[控え室2] 早瀬ユウカ : そう言って少し笑ってみせる。
そんな京子の想いが、ぜんぶ…押し寄せるように、わかってしまったから。

[控え室2] 早瀬ユウカ : なにせ────”天才”同士、だもの。

[控え室2] 歳納京子 : 「よっしゃー!
 それじゃあ、めいいっぱい……楽しもう!」
その微笑みに何だか、励まされたかのように、すっくと立ち上がり。

[控え室2] 歳納京子 : ユウカの手を取って、休憩室を飛び出していく。

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[控え室2] 歳納京子 : その先は。
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────想いで彩られる青い海が広がっていた。

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